コラム
勤務間インターバルの導入
カテゴリー:働き方改革
2018年04月06日
勤務間インターバル?
今回は勤務間インターバルについて書いてみたいと思います。
勤務間インターバルは、簡単にいいますと、
「仕事が終わってから、次の日仕事を始めるまでに一定の時間を空けなければならない」
つまり、遅くまで仕事をしたら次の日の仕事を開始する時刻を遅らせなさいという制度です。
この言葉を見るようになったのは2~3年くらい前ではないかと思います。
それが働き方改革の一つとして話題となり、大手企業を中心に導入が進んでいます。
日立製作所や関西電力などの導入を新聞が報じていました。
この制度、まだ法制化されておりませんが、努力義務として働き方改革の計画書にも含まれており、
既に国は助成金を使って、導入を検討している企業を後押ししています。
助成制度から見えること
助成金の助成条件などを見ておりますと、
「少なくとも9時間、可能であれば11時間は空けてもらえると嬉しい」というメッセージが伝わってきます。
9時間というと、9時始業の場合は就業が0時を超えた場合から、ということになります。
9時間のインターバルでは、帰宅、通勤で2時間、睡眠時間を6時間としても残り1時間ですので、
1日ならまだしも、これが毎日となると結構つらいと思います。
逆に言うとこれ以上短くなると睡眠時間を削っていくということになるわけです。
当然のことながら時間当たりの生産性は落ちてきます。
本当に社員の健康を、そして労働生産性・成果の向上を目指すのであれば、
やはり11時間くらいないと導入の意味が無いように思います。
しかしながら11時間以上のインターバルが義務とされるEUにはまだまだほど遠いものの、
他の施策を含め長時間労働を真剣に考える流れにようやくなってきたのは歓迎すべきことです。
もちろん導入に際しては、事業そのものにも少なからず影響が出るわけですが、
「当社は勤務間インターバルを採用しています!」というのは、人手不足、採用に苦労する中にあっては、
企業価値を高めるよいツールなのではないかと思います(たとえ9時間であったとしても)。
就業規則にどのように定めればよいか
では、実際に導入をしようとなった場合、
まずは次の日の所定労働時間をどうするかを決めて就業規則を変更していくことになります。
次の日の所定労働時間の設定の方法として大きく二つあります。
① 前日の終業時刻から定められたインターバル(例えば11時間など)を空けたところを始業時刻とし、
そこから所定労働時間分を計算し終業時刻を決める(始業時刻と終業時刻をスライドさせる)。
② 前日の終業時刻から定められたインターバルをおいたところから始業するが、
始業時刻は従来のものとして、終業時刻も従来のものとする。
しかし、実際に運用をはじめてみると色々なケースが出てきます。
例えば該当社員が何時に退社したか分からないと、翌日の出社時間も分からないわけですので、
出社、退社時刻の管理上もある程度リアルタイムに上司や部下が把握できるようにしておく必要があるでしょう。
上記はほんの一例ですが、中には「どうしても次の日早く来てもらわないと困る」ということもあるでしょうし、
運用を始めてみるときっと色々なことが起こります。
最初にこれらのことをすべて考慮して・・・となると大変面倒ですので、
まずは勤務間インターバルを「ゆるく」就業規則にさだめて運用をはじめ、
カバーできない部分は都度裁量で判断し、ある程度慣例や運用ルールが定まってきたら、
その分を就業規則に足し込むのが混乱無くスムーズにスタートできるのではないかと思います。
企業から見たメリットは「社員の健康(企業に対するロイヤリティ向上)」と「労働生産性の向上・成果の向上」
そして「企業価値の向上」です。他の制度とのバランスもとらないといけませんが、
助成金等もありますのでこういったものを活用しながらの導入を検討されても良いかと思います。
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